先日書いた夫が家事育児に当事者意識を持つまでの記事、思っていたよりもたくさんの方に読んでいただけたようで反響に驚きました。
そして、本当に色々な人が夫婦関係について苦しんでいるんだなあ、と感じました。
記事のなかでバトルを重ねてきた旨お伝えしました。
私自身は改善点をプリントにまとめて月1回の家族会議でプレゼンするなどで冷静に意見交換を行いたいのですが、夫はそういう方法を嫌います。
なので、パートナーの要望に合わせて感情的に改善要求をぶつけるという方法をとらざるをえません。
私なりに喧嘩の方法について研究、実験をして取り組んできたので、我が家で成功率が上がったテクニックについてお伝えできたらなと思って記事にさせていただきます。
もくじ
夫婦喧嘩では闇雲に感情をぶつけても変化は望めない
夫が当事者意識を持つまでのお話について、引用リプライで色々な感想を頂きました。
その中で「バトルして変わるならどんなにいいか」というメッセージにズーンとなりました。
たくさんの喧嘩を重ねても届かない。いくら感情的になっても届かない。
そういうご家庭もあるだろうなあというのは簡単に想像できます。
我が家も、私が冷静に訴えてきて初めて感情的になってやっと目が覚めた!というものではありません。
何度も「どうしてわかってくれないの!」と泣き崩れて床を叩いて叫んでも全然伝わりませんでした。
そして、産後1年半が経過する頃、体力気力がやっと回復してきました。
はっきりしてきた頭でようやく闇雲に感情的に喧嘩をしても効果がないということを認識しました。
そしてアプローチ手段や伝え方について研究と実験と観察を重ねながら少しずつ喧嘩のあとに明らかな改善が見られるようになってきました。
まずは私は何を求めているのか?をはっきりさせる
まず、自分が伝えたことに相手にどんな対応をしてもらうことで満足できるのかを自分に問いかけました。
そうやって目的をはっきりさせることで、感情のまま何が言いたいのかズレていくことを防止できるようになったと思います。
- 改善してほしいのか
- 謝って欲しいのか
- 認めて欲しいのか
怒っていない状態で、自分が求める場所をはっきりさせておくと、怒りに囚われたときにも主張がブレにくくなります。
喧嘩はどうせ数をこなしていくことになるので、一回一回要求を絞って伝えることで相手も「わーなんか怒ってる〜奥さんこわいこわーい」ですませにくくなるように感じました。
自分が相手に何を求めているのか、よく考えてみる時間をとることができれば最高です。
可能であればノートなどに感情を書き出していくと整理がしやすいです。
どうして私は今こんなに辛いのか。
そう悩んだ時に「最終的にはどうなっていたいのか」という目的地を見つけることを思いつきました。
私の最終目的地は『家族で楽しく過ごしたい』というもの。夫も同じ気持ちでした。
しかし、その段階では家事育児の負担は全て私の肩にかかっており、任せっきりなのに常に不機嫌な夫に腹が立って辛くて仕方ありませんでした。
無理やり時間を作って、ノートに言われる言葉や言った言葉、私の態度や夫の機嫌…色々な悲しくなるものをどんどん書き出してみると現状が少し把握できました。
家事育児で余裕がなく辛い→私が不機嫌になる→不機嫌な私の態度で夫が不機嫌になるというのが見えました。
私の場合、辛い現状を打破するためにはがんばりを認めてもらうという要求はなく、ただ同じ意識で取り組んで欲しいという気持ちが見つかりました。
あとはそれに向かって現在の問題と改善が必要な点を書き出して、段階を踏みながら順番に潰していきました。
まずは「洗い物だけは夫がやる仕事」という膨大な家事のうち、ひとつだけを担当してもらうところからのスタート。
そこから年単位で喧嘩を重ねじわじわと要求のバリエーションを増やし、感謝を折り込みながら家庭内での夫の陣地を拡大して、自己判断で必要な家事を2人で回す、という状態になってきています。
目的は「平等な家事分担」や「言いなりにさせること」ではなくあくまで『家族で楽しく過ごしたい』。
そのためには責任と判断が全て私に委ねられている状況は私が辛く、楽しめない。
『家族で楽しく過ごす』ためには、何から改善していけばいいのか、という話に持ち込んでいきました。
勝ち負けを目的にしない
喧嘩となると、最後に捨て台詞を言った方の勝ち!みたいな低次元なやりとりに陥りがちです。(うちだけ…?)
言い負かすことを目的にしてはいけません。
夫婦関係は勝ち負けではないからです。
相手は必死で目先の喧嘩に勝とうとしてくるかもしれません。(うちはそうでした…)
そんなときは目的を思い出して勝負に釣られないよう意識を強く持つ必要があります。
改善か、謝罪か、がんばりを認めてもらうことか。自分の求めるものに辿り着くためのやりとりです。
目先の罵倒や失言に惑わされない
向こうは当事者意識を持たないまま文句だけつける楽なポジションをキープするのに必死なので、あらゆる言い訳や罵倒で話を反らせようとしてきます。
そこで売り言葉に買い言葉でどんどん話がずれていってしまっては思うツボです。
繰り返しますが、相手は今の楽なポジションを手放したくないのです。
改善や謝罪を避けるために必死で抵抗します。
そんな相手の目先の変な言い訳や罵倒に釣られてしまうと話が進みません。
口喧嘩が苦手な場合、いざ喧嘩が始まる前に、相手が言ってきそうな言葉を書き出したり、その返答をシュミレーションしておくのがおすすめです。
言い訳に引っ張られないように私がよく言われた言葉とその言葉への切り返しを書き出してみます。
- 「言い方が気に入らない」
- 「やってるのに全然やってないって言わないで」
- 「完璧を求めないでよ」
- 「自分が正しいと思ってるんでしょ」
- 「仕事やめて家事やればいいってわけ?」
- 「僕だって頑張ってるのに!」
- 「言い方に気をつけてる段階で聞いてくれたらこうなってない」
- 「そうだね、確かに少しはやってるね。でももっとやって欲しいから言ってる。」
- 「私も完璧じゃないよ、誰が完璧求めてんの?」
- 「正しさでなく自分の意見を言ってるだけ」
- 「誰がそんなこと言った?現実的な話をしていこうよ」
- 「頑張ってるよね、協力して2人で一緒に頑張っていこうよ。」
抵抗ワードに対する切り返しのポイントは、「完全に拒絶しないで若干受け入れて方向を修正して返す」というところにあります。
「違うよ!」「そんなこと言ってない!」と正面から受け取って否定してしまったら相手の策略通りです。
「そんなこと言ってない!」「言ってる!」の無限ループへ誘導にひっかかってはいけません。
本当に、ありとあらゆる言い方で座り心地のいい椅子を死守しようと抵抗してきます。
でも本当にそのポジションは快適なのでしょうか?
家事育児を人任せにして、客のように振舞って、妻の態度がどんどん冷たくなることを望んでいるんでしょうか?
夫の望みも私と同じ『家族で楽しく過ごしたい』というものでした。
しかし、以前の夫の頭の中にあるのは「家事も育児も全部やってもらって、全部許してニコニコしていて欲しい」という妻の負担を無視した願望でした。
そんな非現実的で、夫にだけ都合のいい家庭像は粉々に叩き潰す必要がありました。
その上で、「私もあなたも家族で楽しく過ごしたいのは同じはず。私は笑顔で過ごしたい。でも今のあなたのままではそれは無理だ。だからあなたに変わってほしい。」と何度も伝えました。
私はもともと言葉遣いが荒く声も大きく早口なので、そこに付け込まれて何度もこの言葉を言われました。
しかし、これって「言われている内容」自体はギリギリ認めているんですよね。
「言っていることわかるけど言い方、頼み方が気に入らないから言うことを聞きたくない」というくっそ我儘な謎の要求を鵜呑みにして、素直に言い方に気をつけようとしていた時期が結構長かったです。
そして、色々な言い方に気をつけてみた結果気づきました。
言い方を工夫して優しく伝えているうちは本気だと思われていないので聞かない。
気を使って表現や口調を工夫してみても、結局感情的にならないと伝わらない。
「言い方」は私に責任を押し付けるだけの言い訳でしかありませんでした。
なので「言い方が気に入らない!」と言われたら「この言い方になるまでに何回言っても聞かなかったのはそっち。こんな言い方をさせる前に改善して!」と押し付けられた責任を返すようにしたら言い方言い方言わなくなりました。
夫は、使えない言い訳はボツにしていくようです。
改善の要求を伝えたいときに使える技
パッといい切り返しができない方でも使える効果的なテクニックを紹介します。
返答や言い訳の内容には一切反応せず、謝罪か了解を口にするまで同じ言葉を繰り返し返答します。
例)「これから、保育園の送りは親として半分、あなたに担当して欲しい」
「僕だって仕事があるんだから」(妻にも仕事があることはわかっている)
「これから、保育園の送りはあなたに担当して欲しい」
「子供だってママがいいって言うよ」(子供のせいにして逃げようとする)
「これから、保育園の送りはあなたに担当して欲しい」
「みんなお母さんがやってるんじゃないの?」(一般化して逃げようとする)
「これから、保育園の送りはあなたに担当して欲しい」
「出勤が早い日は無理だよ」(それ以外の日はできるとわかっている)
「これから、保育園の送りはあなたに担当して欲しい」
「怖いよ!わかったよ!やめてよ!」
「じゃあ月曜日一緒に行ってやり方を教えるね」
~fin~
家庭運営をしていく上で、親2人で協力して負担を分散する必要がある物事はたくさんあります。
例としてあげた保育園の送りは出勤時間など様々な縛りがあるので家庭によると思いますが、ほかにも「夫でもできるはずなのになぜか私が全て担当することになっている」という明らかに甘えて言い訳してやっていない多くの物事にそこそこ有効です。
相手の事情を聞く
喧嘩が好きで言い負かしてぶちのめすために怒っているという方は多くないと思います。
私は夫がどう思っているか知りたい、一緒に考えていきたい。
でも話し合いの場から逃げられてしまうから喧嘩をせざるをえませんでした。
私は喧嘩をするとき夫の考えも知りたいので、喧嘩しながらも、意地を張らず夫の頑張りをやすごい点を認めて混ぜて、納得できる相手の意見はどんどん受け入れる姿勢で挑んでいます。
人格を否定しない
建設的なやりとりをするためには、いくら腹が立つからといって「ほんまにお前カスやな。」とか言ってもしょうがないんですよね。
喧嘩の目的は相手を傷つけることではありません。
行動の改善か、謝罪か、がんばりを認めてもらうことなどが目的のはずです。
喧嘩のための喧嘩は無意味です。
自分の主張ばかりを通さない
これは主張の激しい私が夫と喧嘩をする前に100回くらい自分に唱えたことです。
私が夫と喧嘩をするのは『家族で楽しく過ごすこと』にたどり着くための行動なので、「私には確固たる意見があって、夫に改善を要求するのだ!」と頑なになることをやめる必要がありました。
相手も疲れている、私が正しいとは限らない。
夫の場合、弱音を吐かないことを男の美学としているため状況を知らされず、対応ができず、何も言われぬまま負担が増大して喧嘩をして初めて夫がどんな状況だったのかを知ることも多かったです。
「そうだったのか!」と思ったら「でも私だって!」と目先の喧嘩の勝ち負けに引っ張られず「それは知らなかった。ごめん」と受け入れて納得して、「もっと知る必要があるからいちいち教えてほしい」と発展させることで不毛な争いを避けられるように努力しました。
私は自分が強気なのは自覚しているので、押し付けにならないよう常に心がける必要がありました。
話を聞けば話を聞いてくれることもある。
要求を伝えようとしても、耳に蓋をされてしまっては話すだけ無駄、イライラがたまるだけです。
自分の意見よりもまず先に相手に話してもらうことに成功すれば、喧嘩を回避して話し合いができる場合もあります。
こちら側の提案全てに「出来ない嫌だ無理だ」と抵抗して改善の光も見えないときは、「じゃあどうしたらいいと思う?」と相手の意見を引き出すと、喧嘩が話し合いに発展していくこともありました。
私はよく口が回るので、夫の気持ちが整理されて意見を聞くために途中で黙る、というのはとても大切なことでした。
喧嘩というと罵り合うイメージですが、言葉が得意で思考をどんどん口に出せる私と、言葉で表現することがとても苦手な夫が同じペースで喧嘩のやりとりをするのは非常に不公平です。
そのため、私が途中で黙るのは、意見を聞くにも伝えるにも有効な手段でした。
自分の気持ちや要求を伝えて、返答があるまでひたすら黙る。
「なんか言ってよ!」と途中で攻撃的に水をささないよう気をつけてじっくり待ちます。
要求を分散すると通じないので、相手の心が整理されるまで何も言わずひたすら黙って待ちます。
考えている様子もなく無言という逃げに入ったら、また要求を伝えます。
「待つからゆっくり考えて」と無言に耐えていると正直な気持ちが聞ける場合があり、意見や気持ちを聞き出すことで改善の方向が一気に明るくなったこともあります。
《逆:相手の口がよく回るタイプの場合には》
言い訳に反応せず一旦言いたいまま言わせておくのが有効かと思います。
謎理論に違和感を感じても修正せず言わせておきます。
黙っている相手に1人で喋り続けているとだいたい本人でも自覚できるくらい理論が崩れてきます。
相手が黙って気まずい空気になったらまた一言で気持ちや要求を伝えると聞く耳を持ってくれるかもしれません。
(私は、たくさん喋って丸め込もうとする方だったので、この戦法で来られるとダメージが大きいです。)
稀にいるらしい、1人で喋って「わかったね!オワリ!」と切り上げてしまうタイプだった場合は、「終わってない。次は私の話を聞いて」と切り出してみて、聞いてくれればOK、そうでなくまた俺理論を喋り出したら黙るまで待ってみるのはどうでしょう。。どんなもんなんでしょう。。ネタが尽きて話が繰り返しになってくるとボロが出てくると予想します。。
感情的になるのは最初だけでいい
突発的な喧嘩でも、突き詰めれば『家族で楽しく過ごしたい』それができていないから辛くて気持ちがいっぱいいっぱいになっている状態だったりします。
私の場合はある程度爆発すると急激に冷静になります。
冷静になった後は表現が悪かったことなどを謝罪したり、夫がやってくれていることに感謝します。
その上で「ここが困っている」と伝えたり、「今私は仕事でこんな状況で、余裕がないから当たってしまった。余裕を作る方法はないものか」と協力を仰いだりします。
でも人間なので完璧でも完全でもないです。自分がそうなら人に完璧を求めないようにするしかないですわ…。
怒鳴り合いが終わってからの話し合いタイムが重要
もうそれなりに歳をとると怒鳴り合いでの体力消耗が激しいです。
普段から使い慣れていない怒鳴り声で喉はカッスカスになります。
我が家では、感情的になって疲れてしまってから、やっと多少冷静に話し合いができる場合が増えてきました。
とはいえまだ気が立っているので、お互いピリッとしつつも有効な意見交換と改善案の出し合い、協力体制の確認、普段の感謝の述べ合いが始まります。
ここできちんと感謝と改善を落ち着いて伝えるのが喧嘩の本番よりも一番重要でした。
なんで私ばかりがこんなに頑張らなくてはいけないのか問題
ここまでこの長いブログを読んで「なんで私ばっかりこんなに頑張らないといけないの。」と思う方もいらっしゃったりするのかなー?と思います。
私が頑張れたのは夫を家事育児もできないポンコツだと認めるのが絶対に嫌だったからです。
尊敬して、大好きで、一生を一緒に過ごそうと決めた人をパートナー失格だと諦めたくなかったからです。
あとはマジで私が全部やっている状況が本当に我慢ならなかったからです。
夫からしたら私がたまにブチギレるのを言い訳して逃げ回ってさえいれば、家事も育児も責任を取らずにすんで全部やってもらって楽チンなので改善しようとは思わなかったんでしょう。
楽なポジションにいる側は頑張ろうとは思わないものです。
楽なポジションを手放してでも一緒に頑張ろうと思ってくれる人なら最初から喧嘩とかしなくていいんじゃないかなと思います。
そして、我が家は私が頑張ったから夫が当事者意識を持つようになった、とは思っていません。
変わるのは本当に大変です。
夫の頑張りがあって、今私は子供と笑顔で接することができています。
夫は何度も泣きわめいて怒っていた私が、子供を連れて家出をして初めて「やばい」と気づいてくれました。
そこでやっと対話が始まり、私が家事育児の共有について怒っている様子に対して耳に蓋をして「文句をつけられて人格を否定されてる」という意識だったところから「家庭は協力して作り上げる必要がある」という認識に変わってくれたように思います。
まず、「あなたを否定したくて怒っているんじゃない、あなたが必要だから必死なんだ」と伝えられればいいなと思います。